自社のアウトバウンドが目指すことが実現できるかどうかは、導入するシステムに左右されます。そのためには、ベンダ選びは重要課題。今回は、導入後に“もっと慎重に検討しておけば……”と後悔しないためのベンダの選び方を紹介します。
「見積り額」でベンダを順位付け…それで本当に大丈夫?
アウトバウンドにおいて、システムは重要であり、ベンダは重要なパートナー。システムが自社の都合に合わないから、現場の気に入らないからといって、「はい、さようなら」というわけにはいきません。それだけに、単に「コスト」だけに注目してしまうと痛い目に合わないとも限りません。
ですから、見積り額を最優先項目においてベンダを判断するのは絶対にNG。目の前の安さに飛びつき、想定通りのシステムを構築できない事態に陥れば、長年にわたってリスクを抱え続けることになるのです。
「いやあ、A社のシステムはすごくいいのは分かるよ。でも、弊社の予算は限られているからねえ…。」
そうは言っても、最高のシステムを潤沢な予算の元に導入できる企業はないでしょう。では、何をおいても一番必要な機能は?その次には?さらにその次…と、何が必要な機能なのか、優先順位をつけて整理してみましょう。
「優先順位をつけるといっても、システムの事は分からない…」という方もいるかもしれません。でも、システムを見て優先順位をつけるのではなく、「まず自社のアウトバウンドコールセンターでは何をすべきか」という目的ならば分かるはず。この目的を明確にすれば、自ずとシステムに何が必要か、整理をする糸口が見えてくるはずです。
ベストパートナーを見つけるコツは「受身にならない」こと
それでは、実際にどのような手順を踏めばよいか、見ていきましょう。ここで重要なのは、ベンダに対して“丸投げ”のような姿勢で臨まないこと。
「弊社はこんな感じのシステムがほしいのだけれど、システム概要と見積書をください」
というのではなく、
「弊社はこんな目的。そのための要件は(1)・・・(2)・・・(3)・・・が実現できること。予算は・・・・」
と言ったらどうでしょう。
ベンダにとっても、「できる/できない」の判断がしやすくなりますので、お互いの論点が明確になるでしょう。
「なんかいい感じにお願いします」というような丸投げは、誰にとっても良い結果をもたらしません。ベンダは「良かれ」と思う内容を提案しますし、発注側は「なんかそうじゃないんだよね…」と曖昧な不安を抱えたまま、話が進んでしまいます。ここに、「コスト至上主義」にしてしまうことのリスクがあるのです。
つまり、まずは「こういうコールセンターにしたい」という自社の方針を明確に打ち出さなければ、ベンダの取捨選択には進めません。例えば、某社がベンダ選定をする場合を見てみましょう。
――某社のベンダ選定にて。
某社ではまず、管理者と担当者、発注者とがミーティング。下記の3点を明確に定義し、部署内においても共有することにしました。
(1)コールセンターのミッション
(2)要件定義
(3)成長戦略
上記を踏まえたうえで、ベンダに対して何を依頼したいのか、現場からのヒアリングもまとめながら、システムに求めることの優先順位を策定。自社の予算感に見合いそうなシステムを扱うベンダを絞り込んでいきます。その中で、有力な数社に問い合わせし、見積もり作成という流れになりますが、その際には下記のような内容がまとまっている資料を渡しました。
●某社がアウトバウンドのシステムを導入する目的
●システムに求める要件
(1)大量に架電できること
例)リサーチ業務に活用する際には、
一度に100名以上のスタッフで架電する。
(2)架電が早く・次々とできること
例)リサーチ業務の際には短期間に大量のリストに連絡しなければならない。
架電・通話の後の報告・次の架電までのサイクルを短くしたい。
(3)すべての会話内容を録音できること
(4)見やすいトークスクリプトを表示できること
……等
●現状システムが抱える課題
●導入までのスケジュール
●保守・管理体制に関する要望
●その他連絡事項、予算 ……等
――いかがでしょうか?
これは某社が作成した資料の概要でほんの一部ですが、具体的に「自社がしたいこと」が見えてくるので、自社側でもベンダの提案に対し「Yes/No」がはっきりしますし、ベンダ側も提案しやすくなると思いませんか?
このように、システム選定はベンダとのやり取りの前に、自社がどのようなシステムを使いたいのかを明確に訴えることが、いかに重要かお分かりいただけたかと思います。
●まとめ
上記の手順は、実は「RFP」を作成する際の考え方をまとめたもの。RFPとは、「Request For Proposal…提案依頼書」のことで、業務をアウトソースする際に、自社が求める要件を定義するものです。
こうしたRFPを作成したり、その考え方を活用し、自社が求める情報を正しく伝えることで、長くお付き合いできる“ベストパートナー”となるベンダを選び出していきましょう。
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