アウトバウンドコールセンターを成功に導くカギになるのが開設前の下準備。この工程を疎かにすると、オペレーターが疲弊するばかりでなく、ムダなコストが発生しかねません。スタート時から最大のパフォーマンスを生み出すためには、どのような準備が必要なのでしょうか。
急ぎは禁物、テスト運用なくして、成功なし!
「1日でも早く結果を出したい!」…経営的な視点に立てば、アウトバウンドコールセンター運用が決まったら、少しでも早く稼働させ、成果を生み出したいと思うのが常でしょう。
しかし、急がば回れ。アウトバウンドにおいては、本格運用前の初動点検となる「テスト運用」実施は必須。テストなくして、稼働後の効率的な運用はできないといえるでしょう。では、アウトバウンドコールセンターの立ち上げ時では、どのような観点でテストすべきなのでしょうか。その基本的なポイントは下記の2つです。
●ポイント1…運用時の失敗の芽を摘む
時間や予算の制約があるからとテスト運用をないがしろにしては絶対にNG。テスト運用を実施し、サービスや品質に問題がないかを確認して失敗の芽を摘んでおかないと、
「お客様と会話がスムーズに続かない」
「お客様からよくある質問に模範回答が用意されていない」
「売上目標の数値と、あまりに大きく異なる結果となった」
「システムの使い方が難しいとスタッフから不満が相次ぐ」
…というように、本格運用を始めてから思わぬトラブルが発生しかねません。いかなるプロジェクトにおいても、テスト運用でリスクを低減することが、成功の確率を高めるカギになります。
●ポイント2…成功に近づくためにも、テスト期間に修正を繰り返す
初期の計画段階から、全く修正なしにコールセンターが狙い通りの効果を上げることは難しいといえます。ですから、実際に顧客に対してテスト架電を行い、実効性を確かめることが不可欠です。テスト架電での顧客の反応により、現実に即した形で計画に修正を加えることが、稼働時の成功につながるのです。
テスト運用では主に「内部」「外部」の2方向をチェック
失敗のリスクを避け、成功への足掛かりを築く…これがテストのポイントですが、
「必要性は理解できたけれど…」
「実際にどのようなテスト運用を行えばいいのかわからない…」
という方に向け、その一例をご紹介しましょう。
その前にまず、テスト運用時の架電件数について。本格運用の規模にもよりますが、総量の約5%、数千件~1万件が目安となります。ただし、時間や予算が確保できない場合、無作為に抽出した1,000程度の標本があれば、一通りのチェック項目について実施でき、誤差を許容範囲内に収められると言われていますので、まずはこの件数の確保は大前提と考えてください。
例えば、「夏のキャンペーン商品」のアウトバウンドを行いたい某社の場合。
テスト運用で実施するチェックすべき項目には、大きく分けると「外部要件」=「顧客の反応」、「内部要件」=「業務の運用確認」の2方向。
外部要件としては、下記のようなチェック項目が挙げられます。
・商品…顧客がキャンペーンの商品に反応してくれたか
・ターゲット…設定は適切だったか、キャンペーン内容と合っていたか
・メッセージ…キャンペーンのコンセプト、メッセージ、コピー等に反応しているか
・注意すべき反応…顧客からのクレームや拒絶反応につながっていないか
・KPI…架電接続数(率)、受注件数等と予想はどのくらいの差があるか …等
次に、内部要件としては、主に架電業務に関しては下記となります。
・トークスクリプト…会話の流れに不自然な点はなかったか?
・質問と回答…顧客からの質問・疑問に対して回答が準備されているか
・システム…現場での使い勝手がよいか(架電しやすく、コール結果が登録しやすいか…等)
…架電結果分析や、レポート作成がしやすいか
(NG理由、受注理由、どんなお客様がターゲットになりやすいか…等)
もちろん、これらはチェック項目のほんの一部で、ほかに管理者が架電状況を把握できるか等、管理面でも実際の運用を想定しながら確認します。こうしたチェック項目を1つひとつ記録し、本番運用に向けて軌道修正していくことになります。
またもう1つポイントを挙げると、テスト運用時では「誰が架電するか」ということも重要。テスト運用の架電担当は、アウトバウンド業務の習熟度の高いオペレーターから選別することがポイントです。なぜなら、経験値の高いオペレーターがテスト運用を行うことで、「運用結果」に安定性と信頼性が生まれ、「顧客の反応・態度に対する問題発見」「トークスクリプトの言い回しの確認」「FAQの抜け漏れチェック」などに対するフィードバックの質も高まるからです。
●まとめ
テスト運用では、これらのテスト項目の実施結果や、架電担当者からのフィードバック内容を詳細に記録すること。そして問題点を抽出することが重要です。それをもとに、初期計画をブラッシュアップすることで、成功に向けた軌道修正が行えるとともに失敗のリスクは軽減されます。テスト運用を“コスト”ではなく、成功に導く“プロセス”と捉えることで、スタート時から最大のパフォーマンスが引き出せるアウトバウンドコールセンターが生まれるのです。
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